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【ブログ】第84回 屍をこえてゆけ 〜その4〜

どうも、こんばんは。

もしドラえもんからひみつ道具をもらえるとしたら「暗記パン」に写経する緒方です。

ご機嫌いかがでしょうか。

−11/23 月曜日−

 

「これは…」

 

視界に広がるおびただしい血。

それは紛れもなく緒方のものだった。

 

ついにこの時が来たか。

緒方の体から度々悲鳴が聞こえていた。

しかし緒方は、見て見ぬ振りをしてきた。

 

もう少しだけ、あと少しだけ耐えてくれ…。

 

そう念じてはいたが、

その代償ははるかに大きく、より深く。

鮮やかな赤色が、その願いをあざ笑う。

 

声にならない声、畏怖、焦燥。

かつてない恐怖が緒方を襲う。

 

 

-11/24 火曜日-

【肛門科】

 

緒方「血が出るようです…。助けてください」

 

無慈悲な医療器具が緒方を襲う。

 

医者「んー、特に異常はなさそうだけど」

 

じゃあどうして…

どうして現場に血が流れるんだ…!!

 

緒方「内視鏡検査もお願いします」

医者「はい、じゃあ受付で待っててね」

 

【院内・2F】

ここを上がればもう引き返せない。

この世には知らなくて良い現実が、一体いくつあるのだろうか。

死刑宣告を待つ囚人さながらに、緒方は怯えていた。

 

看護師「ではこの下剤を30分以内に飲み切ってくださいね」

 

用意された恐ろしいほど透明な容器。

彼は天使か悪魔か、それとも…

 

緒方「この1リットルをストレートでですか?」

看護師「紙コップで二杯飲んでから、お水を一杯飲む感覚でやってくださいね」

 

(それならウィスキーを用意してくれないか?ジャパニーズの味を嗜みたい。山崎12年でよろしく頼む)

 

看護師「お口直しに、この飴玉を舐めてもいいですよ」

 

(そうかい、できれば新鮮なオリーブを…あ、この飴懐かしい)

 

…ここまでハードボイルドに決めて来たが、やはり少し怖い。

なぜこんなことになってしまったんだ。

緒方はいったい、どこで何を間違えてしまったんだ。

 

ベスト・オブ・痔ーニスト昨年受賞者である、緒方父はこう語る。

父「あぁ、いきつけの肛門病院教えてやるよ」

 

ただの遺伝じゃねえか

 

口先から生まれ、肛門に召される運命。

人生とは皮肉なものだな。

 

彼にはいずれ「切れ痔確認アプリ」を開発してプレゼントしてあげよう

 

いや待てよ。

さっきの触診で肛門に異常はなかった。

となるとやはり消化器官。内視鏡は避けて通れない。

 

頼む、担当医はおじちゃんであってくれ…!

女性医師だと恥ずかしくて俺は無理だ…

 

おじさん!おじさん!!おじさん!!!

人生でこんなにおじさんの登場を待ち望んだことはない!

別の看護師「緒方さーん、こちらにお入りください」

 

緒方の希望は無残にも崩れ去った

 

看護師「男性医師が担当しますが、我々看護師もサポートしますよ」

 

緒方「すいません、チェンジでお願いします」

 

看護師「いや、恥ずかしいとかそういうのは無いですからね。安心してくださいね。仕事ですから」

 

いや、恥ずかしいのは俺

なんで被害者側なんですか

 

緒方「ちょっと待ってください!私は一期一会を大切にしております」「え?」

医師「はい、じゃあゆっくり入れていきますね」

 

おいおい、困ったな。

目の前にいるそれは本当に内視鏡ですか?

 

アオダイショウと間違えてない?

意志をもつように、自由自在に動く彼。

内臓の位置が狂うんじゃないかい?

 

医師「あ、もっと力抜いてくださいね。息を吐いてー」

緒方「ヒッヒッフー」

看護師「あ、別にラマーズ法じゃなくていいですよ?」

緒方「全集中の方ですか!?」「え?」

 

うおおお!!いってええ!!

お腹の中で動いてる!

 

あ、今蹴った

 

…そうか!

今こそ妊婦さんの気持ちを理解する時が来た!

痛い、違うこれはただのエイリアンだ!

あああ…!!

−そして−

 

医師「大腸からの出血がありますが、そこまで深刻なものではないと思います。大腸自体はとても綺麗ですね。細胞を採取したので、検査に回すので二週間後また来てください」

緒方「わかりました。ところで出血した原因はなんですか?」

医師「うーん、疲れやストレス、生活リズムの乱れですね」

 

「お大事にどうぞー」

ガララララ…

 

愉快なヒラ社員がお迎えするレンタルボックス「パンドラ・ノ・ハコニワ」です。

東京都浅草橋においでの際は、ぜひご来店くださいませ。

※12/8追記 検査の結果とくに問題はありませんでした。ご心配をおかけしました。