-前回のあらすじ-
2017年のある日。
起業を決めていたが、見切り発車で半年後に退職することを会社に伝えた緒方。
しかし物件は決まっていないので、働きながら店舗物件を探すことになった。
さて、場所はどこがいいかなぁ。
やっぱりネームバリューがあるところで山手線沿線がいいなー。
-巣鴨-
家賃安めでネームバリューがあって、山手線沿線といえばやっぱり巣鴨だな!
地蔵通り商店街の方はメディアの取材とかでも使われてるし、人通りも多い。
不動産屋「いらっしゃいませー」
緒方「すみません、空き店舗に張り紙があったので〇〇不動産に来てみました。今、空き店舗を探しておりまして」
不動産屋「あー、あの物件ですね。はいはい。大家に話通してみますね」
緒方「はい。後日連絡お願いします。資料も作ってまとめてきたので、こちらも渡してくれませんか?」
不動産屋「はい」
…二週間後…
そういえば、あの不動産屋から連絡こないな。
まだ連絡取れてないのかな?
あ、わかった!菓子折り的なやつが必要かも。持っていくか。
緒方「すいません。この前お尋ねした緒方と申します。あ、これよかったら食べてください」
不動産屋「あーこの前の!ありがとうございますー」
緒方「ところで、前回の物件の大家さんと連絡取れました?」
不動産屋「それがなかなか連絡取れないんですよー。忙しい方なんですかね」
もう二週間も経ってるけど店舗物件だから審査とかあるのかな?
さすがに連絡取れないはずないと思うんだけどな…。
緒方「わかりました。じゃあ連絡待ってますね」
不動産屋「はーい」
…一ヶ月後…
鎌倉ドラゴン「そういえば緒方さん、お店の場所って決まったんですか?」
緒方「それが、不動産屋からの連絡待ちで話止まっちゃってるんですよね…」
鎌倉ドラゴン「そうなんですか!でも決まったら遊びいくんで教えてくださいねー!」
緒方「了解です!ぜひぜひー」
…とは言ったものの、さすがに時間かかりすぎじゃないの??
俺も早く物件決めて下準備に取り掛かりたいんだよなぁ…。
(鎌倉ドラゴンさんについては「第56回 棚を作ろう。〜その11〜」をご覧下さい)
…更に一ヶ月後…
緒方「すいません。二ヶ月くらい前に物件の予約をしたんですけど」
不動産屋「あーはいはい」
緒方「作った資料、大家さんに渡してくれましたか?」
不動産屋「それが、なかなか大家さんに会えないんですよー」
ん、これなんか怪しいな?
「渡してくれ」って言ったけど、資料はスキャンしてメールで送信すればいいだけだから、会う必要はないはず。
緒方「…大家さんってちゃんといらっしゃいますか?」
不動産屋「あ、はい。忙しい方で連絡取れないんです」
「会えない」のか「連絡が取れない」のか曖昧なんだよなぁ。
それに、連絡が取れないのに忙しいってなんでわかるんだろう?
「連絡取れない=存在しない」は辻褄が合うけど、「連絡取れない=忙しい」とは限らないんだよな。
となると、大まかに4つのケースが考えられそうだ。
1.大家さんがズボラで連絡を返さないケース
2.大家さんが何らかの理由で存在していないケース(相続で揉めているor亡くなられているetc…)
3.不動産屋が大家さんに連絡してないケース
4.見せ物件
まず大家さんにとって、物件を空室で遊ばせておくのはデメリットしかないから1は考えにくい。
二ヶ月分の家賃収入を取りっぱぐれてることになるから、よっぽどお金に余裕がある限り違うだろう。
2は急病とかで亡くなられた場合はありえなくもないけど「忙しくて会えない」と断言するなら、矛盾するから違う。
となると3か4だな。4の場合は客寄せ用の物件とも考えられる。
緒方「わかりました。ではよろしくお願いします」
まぁ、ほぼ4だろうけど1の可能性を信じて待ってみよう。
でもこのままじゃまずいから他の物件も探して同時進行にしないとな…。
…更に一ヶ月後…
緒方「U君お久しぶりです!すいません、物件探しに付き添いで来てもらって」
U君「いえいえ、吉祥寺は近いんで全然大丈夫ですよー!早速行きましょう」
(U君については「第58回 全ての人に花束を 〜その2〜」をご覧下さい)
吉祥寺の不動産屋かぁ。空き店舗の家賃高そうだな…。
とりあえず話を聞くだけ聞いてみようかな。
不動産屋「いらっしゃいませ」
緒方「すみません。じつは…のような仕事をしようと思っていて、店舗物件を探しています」
不動産屋「あのーその前に…このあたりの相場知ってます?100万200万は全然しますよ?」
へえ、そうなんだ?高いなー。
不動産屋「お客さんの予算だと、このぐらいの物件ですねー」
紹介してもらった物件は4畳くらいの倉庫みたいなところだった
緒方「んー、ここじゃちょっと狭すぎますね」
不動産屋「えーなんだっけ?レンタルボックスでしたっけ?このスペースならこのぐらいの棚をこれぐらい用意すればいけるんじゃないですか?」
緒方「その大きさだと使いづらいから厳しそうですね」
不動産屋「あーそうなんですかー。で、契約するんですか?しないんですか?」
U君「緒方さん、帰りましょう!ここに用はなさそうです!」
U君「あの不動産の態度ありえなくないですか!?緒方さん腹立たなかったんですか?」
緒方「んー、おぎやはぎに似てるぐらいしか思わなかったなぁ…。というかハズレ不動産屋に当たりまくってるからもう何とも思わなくなった」
U君「そうでしたか。でも勝手に断っちゃってすいません」
緒方「そんなことないですよ!むしろ助けてくれてありがとうございます。変な契約しなくて済みました」
んー、吉祥寺もダメか…。
困ったなぁ。もうそろそろで会社も辞めないといけないのに。
-本郷三丁目-
バーテンダー「そっか、今日もダメだったんだね」
緒方「まさか店舗物件を見つけるのがこんなに大変だったとは思いませんでした。4ヶ月待たされた巣鴨の物件も『契約できませんでした』のメール一言で終わりだし」
バーテンダー「不動産も良し悪しあるからね。あ、そうそう。うちもう1店舗出そうと思ってるんだよ。浅草橋なんだけど」
緒方「浅草橋?行ったことないなぁ…。浅草ならあるけど」
バーテンダー「仲間が浅草橋にお店をいくつかオープンしてるみたいだけど穴場らしいよ。東京オリンピックも開催するしね」
へぇー浅草橋かぁ。
せっかくだから行ってみようかな!