スポンサーリンク

【ブログ】第38回 風の音と、その声と。

どうも、こんばんは。

ラッキーアイテムが自転車だったのに、自転車乗っていたら職務質問された緒方です。

ご機嫌いかがでしょうか。

 

 

 

ここは、風の強い港町。

強い日差しが、やがて来る冬を待ち遠しくさせる。

 

 

風は南西。

どうやら、セミもどこかへ行ってしまったようだ。

 

 

しかし、アイスコーヒーのカップは汗をかかなかった。

その炎天下とは対照的に、肌もひりつくようなエアコンの効いたファミレスで、男はブログを書いているからである。

男は一口アイスコーヒーを口にして、お気に入りの曲を再生しようとした。

 

「あらやだ、歯の詰め物取れちゃった。アサリと間違えて食べちゃったわぁ」

 

 

風が…止んだ…?

 

嵐の前には静けさというものがある。

男はしきりに天気を気にし始め、指先はスマートフォン、しかし耳はご婦人方へ集中していた。

 

 

「最近、スマートフォンを買ったのよ。写真見せるわね。

 

…指が乾燥して指紋認識しないわ」

 

この場合、ご婦人に非は一切無い。

乾燥している天候に問題があると、私は嘆いた。

 

「あら、やだぁ。年取るとどうも乾燥しちゃうのよねぇ」

「ニベア無いかしら…あ、フライドチキンが来たわ。これでなんとかなるかしら」

 

フライドチキンが、食べられる以外に役に立てるだなんて、鳥もきっと本望であろう。

 

「あ、出来た」

 

え、ほんと!?

 

「写真見せるわね。あらら、画面が暗いわ。」

「よく見えないわ」

「でも、今の機械ってすごいのよ。話しかけると全部やってくれるんだから」

 

なるほど。

Siriの機能を使いこなすだなんて、すごいお方です。

 

「へい、おシリ!」

 

なるほど、ご丁寧に。

 

「ほら、綺麗に見えるでしょ?」

「わぁ、ほんと。この写真なぁに?」

 

 

「なにって、郵便ポストよ」

 

家の門番を大切にされているのですね。

 

「あたしもスマホ使ってるのよ」

「あら、いいじゃない。『らいん』しましょ!」

「登録の仕方がわからないわ。電話帳に登録するわ。」

「わかったわ」

 

ガラケーの名残を感じますね。

 

「えっと…ヨウコさんのヨウって、太平洋の洋?大西洋の洋?」

 

その二択、不正解がないです。

 

「太平洋の洋よ。あら、太平洋の太って『太い』だったかしら?」

「やだわぁ、太いに決まってるじゃない!」

「私と同じねぇ」「あはは!」

 

 

「あら、間違えて太子さんって登録しちゃったわ」

 

降りしきる大雨の中、ご婦人方は台風の目になっていた。