どうも、こんばんは。
ラッキーアイテムが自転車だったのに、自転車乗っていたら職務質問された緒方です。
ご機嫌いかがでしょうか。
ここは、風の強い港町。
強い日差しが、やがて来る冬を待ち遠しくさせる。
風は南西。
どうやら、セミもどこかへ行ってしまったようだ。
しかし、アイスコーヒーのカップは汗をかかなかった。
その炎天下とは対照的に、肌もひりつくようなエアコンの効いたファミレスで、男はブログを書いているからである。
男は一口アイスコーヒーを口にして、お気に入りの曲を再生しようとした。
「あらやだ、歯の詰め物取れちゃった。アサリと間違えて食べちゃったわぁ」
風が…止んだ…?
嵐の前には静けさというものがある。
男はしきりに天気を気にし始め、指先はスマートフォン、しかし耳はご婦人方へ集中していた。
「最近、スマートフォンを買ったのよ。写真見せるわね。
…指が乾燥して指紋認識しないわ」
この場合、ご婦人に非は一切無い。
乾燥している天候に問題があると、私は嘆いた。
「あら、やだぁ。年取るとどうも乾燥しちゃうのよねぇ」
「ニベア無いかしら…あ、フライドチキンが来たわ。これでなんとかなるかしら」
フライドチキンが、食べられる以外に役に立てるだなんて、鳥もきっと本望であろう。
「あ、出来た」
え、ほんと!?
「写真見せるわね。あらら、画面が暗いわ。」
「よく見えないわ」
「でも、今の機械ってすごいのよ。話しかけると全部やってくれるんだから」
なるほど。
Siriの機能を使いこなすだなんて、すごいお方です。
「へい、おシリ!」
なるほど、ご丁寧に。
「ほら、綺麗に見えるでしょ?」
「わぁ、ほんと。この写真なぁに?」
「なにって、郵便ポストよ」
家の門番を大切にされているのですね。
「あたしもスマホ使ってるのよ」
「あら、いいじゃない。『らいん』しましょ!」
「登録の仕方がわからないわ。電話帳に登録するわ。」
「わかったわ」
ガラケーの名残を感じますね。
「えっと…ヨウコさんのヨウって、太平洋の洋?大西洋の洋?」
その二択、不正解がないです。
「太平洋の洋よ。あら、太平洋の太って『太い』だったかしら?」
「やだわぁ、太いに決まってるじゃない!」
「私と同じねぇ」「あはは!」
「あら、間違えて太子さんって登録しちゃったわ」
降りしきる大雨の中、ご婦人方は台風の目になっていた。