-前回のあらすじ-
2018年のある日。
起業を決意した緒方だったが、肝心の物件を見つけることができなかった。
失意のどん底で彷徨う緒方をあざ笑うかのように、退職へのタイムリミットがやってくる。
そんな中、知り合いのバーテンダーにより浅草橋の存在を知る。
果たしてニート緒方の明日はどっちだ!
-居酒屋-
社員「乾杯ー!」
ついに来てしまった退職日…。
部長「緒方君、いろいろあると思うけど応援してるよ!頑張ってね」
緒方「ありがとうございます…」
ノギスさん(工場長)「ところでどこでオープンするの?」
緒方「それがトラブルがあって、まだ決まってないんです…」
ノギスさん「え、そうなの?うちでバイトする?」
いや、今日俺の送別会でしょ
でもノギスさんの言うように、繋ぎでも何かバイトしなきゃまずいよなぁ…。
一人暮らししてるのにニートってなんなんだよ貴族か
なにか時給の良いバイトないかな…あ、いいこと考えた!!
執事になろう
ピンチはチャンスだ。
この機会に執事になってプロの接客を学ぼう。時給もいいし。
うおおお面接行ってくるぜ!
-執事喫茶-
応募者「あ、はじめまして!」
緒方「よろしくお願いしますー!」
バイトなのに集団面接なんだ?
面接官三人もいるし本格的だなぁ…というか、みんな若くてイケメンだし俺場違いじゃね?
緒方「普段何やられてる方なんですか?」
応募者「専門学校行きながら俳優業やってます。普段は何を…?」
緒方「ニー…個人事業主ですね(キリッ)」
夢に向かってキラキラしてる青年に向かって「俺はニート」だなんて言えないや
面接官「はい、それでは始めます。ウォーキングのチェックしますので、ここを歩いてみてください」
へー、なんか厳しそうだな。
面接官「はい、OKです。では順に質問していきますね。緒方さん、えーと現在は無職ということですね…」
いや、バラさないでください
面接官「実は、全国を回る歌劇団のメンバーも募集しています。持ち歌はありますか?」
緒方「あ、はい。『君が代』でしたら少々…」面接官「え?」
あ、ちょっと古すぎたか。
なんか持ち歌あったっけ…あ!あるじゃん!
この前会社の70周年記念パーティーのとき歌ったあれだ!
緒方「『いちご白書をもう一度』でしたら歌えます!」
面接官「…もうちょっと最近の歌はありませんか?若者向けと言うか…」
緒方「若者向けですね!Def Techの『My way』とか歌えますよ!」
面接官「あ…わかりました。結構です…」
…一時間後…
面接官「今日はお集まりいただきありがとうございました。メールにて合否の連絡をします。合格者の方は、次回は二次面接となりますので日程を空けておいてください」
んー落ちたっぽいなぁ。面接官に笑われてたし。
というか受かってたとしたらあと何回面接あるんだろ?
まぁいいや、今日はもう帰るか。
…あ、そうだ。
せっかくだから帰る前に、バーテンダーが言ってた浅草橋に行ってみようかな。
-浅草橋-
へぇ、ここが浅草橋かぁ。
初めて来たけど浅草とはまたイメージが違うんだな。
あれ?
ここは空き店舗物件みたいだ。
路面店で一階で、駅からも近いな。
面白そうだし不動産屋さんに直接聞いてみよう。
-不動産屋(エニストさん)-
Yさん「いらっしゃいませ」
緒方「すみません、ACMビルの内見をさせていただきたいんですが…(錦戸亮に似てるなぁ)」
Yさん「はい、大丈夫ですよ!今からどうですか?」
緒方「ありがとうございます」
あれ?なんかすごく対応いい気がする。
今まで不動産屋から散々な対応を受けてたから、人の親切が身にしみるなぁ…
緒方「店舗物件を探してるんですが、前に予約してたところが四ヶ月待たされた上に断られちゃったんですよー」
Yさん「え、四ヶ月!?それはちょっと有り得ないですね…」
あ、やっぱ普通じゃなかったんだ!?
緒方「なるべくなら、サクッと決まるとありがたいです」
Yさん「わかりました。大家に掛け合ってみますね」
緒方「ありがとうございます。早めにオープンしたいのは山々なんですけど、開店準備もしないといけないな…」
Yさん「こちらの物件でしたら二ヶ月分のフリーレント(無料期間)がありますよ。オープンに向けて少しでも節約しないとですね…!」
めちゃめちゃ親切!!
緒方「親切にありがとうございます。ここに決めちゃおうかな…」
Yさん「機会がありましたら是非!それでは、大家から連絡ありましたらご連絡します」
…数日後…
あの不動産屋さんは仕事早そうな感じしたけど、それでも書類作ったり色々しないといけないだろうから、まだ時間がかかるかもしれないな。
あれ?メールが来た。なんだろ?
「二次面接のお知らせ」
え、執事受かってるじゃん!
すぐに二次面接あるけどどうしよう。
とりあえず行くしかないな。
面接官「それでは、二次面接を始めます。今日は二次面接というより仕事の流れや規約などの説明を…」
もし仕事を始めた直後に物件が決まったら、すぐに辞めることになってお店に迷惑がかかっちゃうな…。
でも物件がすぐに決まるとも限らないし、大家さんからノーと言われたら元も子もないんだよなぁ。
ニート期間が延びると今度は開業資金が危うくなる…。
どうすればいいかな…??あ、LINEきた。
Yさん「大家の確認が取れました。OKだそうです」
仕事早ッ!
そしてすごいタイミング!
面接官「…以上で本日は終わりにします。何かご質問はありますか?」
緒方「すみません…!今回は辞退させていただきたいのですが…」面接官「え!?」
せっかく採用してくださったのに申し訳ないな…。
後でもう一度ちゃんと謝罪の連絡を入れておこう。
…そして、2018年9月…
長かったけど、ようやくスタートラインに立てた…!
ここから毎日忙しくも楽しい日々が続きますように。
さぁて今日もやりますか!
(ここからは「第0回 さぁ、お店を作ろう」に続きますので、時間があるときに是非どうぞ!)