どうも、こんばんは。
ものすごいものすごさの緒方です。
ご機嫌いかがでしょうか。
朝、目が覚めると、なぜか泣いている。
そういうことが時々ある。
見ていたはずの夢は、いつも思い出せない。
ただ、何かが消えてしまったという感覚だけが目覚めてからも長く残る。
ずっと何かを探している。
そういう気持ちにとりつかれたのは、多分あの日から。
【BGM:RADWIMPS「夢灯籠」】
-10数年前-
ロンドンの子供たちがサンタクロースの夢を見る頃、東京では気だるい朝を迎える。
空は少しずつ白んで夢と現実の境界線を描いていた。
眠い目をこすりながら、緒方はスピードメーターを傍目に見つつ運転に集中する。
100km/hを指すメーターは寒さと共に弱く震えながら、早朝のすいた高速道路の終わりを待っていた。
後部座席に座っていた後輩がふと呟く。
後輩「緒方さん。良い報告と悪い報告があります。どちらを聞きますか?」
緒方「良い報告を頼む」
後輩「大の方だけは何とか我慢できました」
後輩「そして、悪い報告は…」
緒方「いや、いい。…大は小を兼ねるとよく言ったものだから」
後輩「僕がいうのも何ですが…!使い方違うと思います…!」
そう訴えると彼は泣いていた。
否、今思えば。
涙で水分を少しでも消費しようと、彼なりの努力をしていたのかもしれない
その後、緒方の愛車を見たものはいなかった。
-2022年12月18日 PM7:00-
時間との戦いだった。
タイムリミットはPM8:00。それまでにトラックを返却しなければならない。
しかし問題はそこではなかった。
首都高速を進むにつれ、膀胱からの鼓動を感じる。
もしかして俺たち…
入れ替わってる?
【BGM:RADWIMPS「前前前世」】
ナビ『1km先、渋滞しています』
【BGM:エヴァンゲリオン「出撃」】
マヤ「パターン青!使徒です!」
葛城「アンビリカルケーブル切断!」
マヤ「OGA、活動限界まで残り3分です!」
動け!動け!動いてよ!!
そして…
-パーキングエリア-
15リットルのガソリン2500円。
延滞料金2000円。
1500円で首都高を乗り直し、プライスレスのトイレ休憩。
緒方は思う。
俺の2リットルの方が高いんだな
耐え切った膀胱に、おめでとう。
後輩に、ありがとう。
6000円分の、まごころを君に
-fin-