どうも、こんばんは。
元気玉の練習をしていたら、指にトンボが止まった緒方です。もう秋ですね。
ご機嫌いかがですか?
「いいかい?歯が痛くなったらすぐに歯医者に来ること!約束だからね!」
あれから20年。
ついに歯が痛くなり、20年ぶりに歯医者を午前11時15分に予約しました。
歯医者は埼玉県の実家近くですが、男たるもの、20年前であろうと約束は必ず守ります。
その日の予定は、朝3時に浅草橋を出て、6時半から船橋のカインズホームで作業。
その後、8時までに浦安(現在の住まい)に到着すれば、3時間前だからシャワーを浴びる余裕ぐらいあるだろうと考えていました。
しかし、船橋法典駅周辺で渋滞…。9時に浦安に到着してしまいます。
そのまま急いで電車に乗り、地元に着いたのが11時。
地元駅から歯医者まで、歩いて20分ほど。急遽タクシーを使いました。
ちょうど11時15分に到着。ギリギリセーフでした。
「こんにちは。保険証を提出してください」
あ、保険証忘れた!
緒方「すいません、保険証を忘れてしまって…」
「わかりました。診察料は後日精算致しますので」
緒方「保険証無いといくらになりますか?」
「そうですね…6000円くらいですかねぇ」
まずい、タクシーに乗ったから現金が無い。
緒方「すいません、カード使えますか?」
「現金のみになってしまいますね」
緒方「そうですか。一番近いATMってこの辺だと、どこになりますか?」
「近くだと、農協ですね。歩いて20分ぐらいです」
そう。私の地元では、歩いて20分は近い方です。
歩いて20分だと車で3分なので、車移動前提の地元なのです。
緒方「んー、困ったなぁ。今タクシーで来てしまって、5000円しか無いんです」
「じゃあ、5000円までで出来る治療にしましょうか」
マグロの計り売りスタイル
緒方「わかりました。それではお願いします」
久しぶりの歯医者ですが、全く雰囲気は変わっていません。
私は、歯医者は嫌いではありませんでした。
ここの歯医者さんが名医だったからです。
あまり歯を削ることをしたがらず、利益度外視で、患者さんに対して怒ることも出来る先生です。
-20年前-
緒方「ダメだ、どうしても歯が痛い。助けて」
ある日、右の奥歯が物凄く痛くなったのですが、その日は休日だったため救急外来に連れて行ってもらいました。
「ここの歯ですか?わかりました。抜きますね」
そこでは大した診察もせず、何本も麻酔を打ち、すぐさま奥歯を抜かれました。
しかし治療が終わっても一向に改善しません。
そして次に連れて行かれたのが、この歯医者さんでした。
「あらまぁ、すごい腫れちゃってるねぇ」
雑に抜かれたため、膿がほっぺの内側に浸透してしまい、輪郭がナスのように膨れ上がっていました。
私が持って来た歯を見せると、歯医者さんは驚いていました。
「抜かれた歯はこれ?全然虫歯じゃ無いじゃん。関係無い歯を抜かれたね」
緒方「原因は歯じゃなかったんですか?」
「そう。これは歯茎が炎症を起こしてるんだよ。それと、このレントゲン見てごらん」
レントゲンを見て愕然としました。
「キミの場合、6番の下に歯が無いんだよ。抜かれた歯は永久歯だったんだね」
たしかに、乳歯にしては根元がしっかりしているなと思っていました。
だからあれほど麻酔を打っても痛みがあったのかと、疑問が解けました。
緒方「このままだと、どうなるんですか?」
「歯っていうのはお互いが支えあっているから、このまま成長すると7番が前の方に傾いてくるよ。噛み合わせが悪くなるね」
歯並びが良く無いと、いろいろなことに影響してくるようです。
「抜いた歯を使ってブリッジにする手もあるんだけど、他の歯を削らなきゃいけないから、オススメはしないね」
緒方「そうなんですか…」
しかし、私は歯の成長が人より遅かったのか、8番がまだ生えていませんでした。
「これから成長期に入るから、読めないんだよね。様子見たほうがいいかもよ?」
色々考えた末、そのままにすることにしました。
適切な治療で、歯茎の痛みはしっかりと治りました。
「いいかい?歯が痛くなったらすぐに歯医者に来ること!約束だからね!」
緒方「わかりました」
「はーい、こんにちは」
20年前と姿が全く変わっていない、島崎先生。一体おいくつなんだろう。
私のことはさすがに覚えていないか…。
緒方「左の方が、冷たいものを飲むと染みるみたいで」
「ふーん。あ、ここかな?でも見た感じ、これは虫歯じゃなさそうだけどね」
そう言うと、歯の診療を始めました。
「左じゃなくて、右の8番が虫歯になりかけてるね。でも、ここは下手に削ると取り返しつかなくなるよ」
緒方「右だったんですか?」
「そうだね。それと…」
先生は歯ブラシを取り出して、
「全体的に歯磨きが下手!ちゃんと磨けて無いよこれは。48時間以上経ってプラークが変色してる」
緒方「あ、ちょっと今まで仕事してて」
「そんなこと関係無いよ」
そう言うと、先生は私に歯磨きのレッスンを始めてくれました。
緒方「なるほど。こうやって磨けばよかったのか…。ありがとうございます」
「そう。ちゃんと出来るでしょ。この歯ブラシと歯磨き粉はあげるから持って行きな。
それと、今日は治療費はいらないから!歯磨きのやり方をしっかり覚えていくんだよ」
緒方「え。いや、お代は払います」
そう言うと、先生はおもむろにこう言いました。
「キミ、緒方君だろ。子供の頃に、永久歯抜かれた子!」
私のことを覚えていました。
緒方「覚えててくれたんですね。20年前に言われた通り、歯が痛くなったから来ました。浦安から」
そう言うと先生は照れ笑いしながら、
「いや、もっと近くの歯医者探しなよ」とだけ言い、席を立ちました。
「あぁ、8番生えたのか。歯並び整ってよかったねぇ。ブリッジしなくて正解だっただろ?」
先生が手にしていたのは、20年前の私の歯のレントゲン写真でした。
歯医者さんにも生活があるので、銀歯や追加の治療で利益を出したいはずです。
しかし、治療をした上で「金はいらない!」だなんて、私も一度は言ってみたいなぁと思いました。
『人のためになることを、見返りを求めずに行える』
これほど素晴らしいことはありません。
「お疲れ様でした。『診察』費3800円ですね」
そうきたか!